日本臨床皮膚科医会
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皮膚の病気

さまざまなひふの病気について、症状などをわかりやすく解説しています

円形脱毛症

 円形脱毛症はストレスを契機にして脱毛巣ができる病気で、年齢・性別にかかわりなく再発を繰り返します。急激な抜け毛のあとに毛母細胞が休んでしまい脱毛巣ができますが、10人のうち8名は2〜3か月で毛母細胞が活動再開し自然に毛が再生します。残念ながら残りの2名は大きくなり増数します(多発型)。頭髪すべてが抜ける例(全頭型)や体毛すべてが抜ける例(汎発型)もあります。このような重症例では自分のリンパ球(CD4陽性T細胞)が毛母細胞を攻撃する現象がみられるため、これを止める治療が必要になります。適切な治療を行わないと、多くの場合症状がさらにひどく進行します。病気のはじまりでは自然に治る例とこれら重症例との区別がつかないため注意が必要です。

 重症例の治療には円形脱毛症治療ガイドラインでステロイド局注と局所免疫治療(かぶれ治療)が推奨されています。前者はステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)を2〜4週間隔で脱毛巣に局所注射し、ステロイドの作用でリンパ球の攻撃を抑えます。脱毛巣の大きさが比較的小さく、数が少ないものに適しており、3〜5回の注射で多くの場合良くなります。後者は脱毛巣に人工的にかぶれを起こしリンパ球にその始末をさせて毛母細胞への攻撃を少なくする治療で、週1回〜2週に1回、かぶれを起こす薬剤(SADBEあるいはDPCP)を脱毛巣に塗布して弱いかぶれ症状を持続させます。3〜4か月で一斉に毛が再生し、多発型での有効率は70〜80%と高いのですが、全頭型や汎発型では残念ながら有効率が10%以下になります。後頭部や頸部のリンパ節腫脹がおこりますが心配はありません。10人に1人の割合で全身にかぶれ症状がおこりますが、十分に注意すれば子供でも治療が可能です。さらに、これらの治療法で効果がみられなかった例や発症6か月以内に急激に症状が進行する重症例ではステロイド大量点滴静注治療(mPSLパルス治療)の有効性が報告されています。この他に紫外線治療(PUVAあるいはナローバンドUVB)やドライアイス治療がよく効く例もあり、皮膚科専門医に是非御相談ください。

(石川県支部 筒井 清広)


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