日本臨床皮膚科医会
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皮膚の病気

さまざまなひふの病気について、症状などをわかりやすく解説しています

毛虫ひふ炎

 初夏の訪れとともに、子どもは外遊び、大人はガーデニングやハイキングなど、屋外での活動が多くなりますが、それにあわせるように、ひふに有害な虫も、活発に活動するようになります。この時期に一致して、毛虫によるひふ炎が発生します。毛虫ひふ炎は大きく分けると、からだをおおっているたくさんの毛に毒がある「毒針毛(どくしんもう)型」と、からだの表面にするどいトゲがある「毒棘(どくきょく)型」の2つのタイプがあり、毒針毛型ではかゆくて赤いブツブツがたくさん出るのが特徴で、毒棘型ではトゲ刺さったところに強い痛みを感じるのが特徴です。毒針毛を持つ毛虫の代表はドクガの仲間で、チャドクガ・モンシロドクガ・ドクガ・キドクガなど、多くの種類があります。その他カレハガの仲間のマツカレハ・ツガカレハなども毒針毛を持っています。毒棘を持つ毛虫の代表はイラガの仲間のイラガ・アオイラガ・ヒロヘリアオイラガなどですが、この他にもいくつかの種類が知られています。また、ガの幼虫だけではなく、タテハチョウの幼虫にも毒棘を持つものがあります。なお毛虫の写真はこちら(http://jpmoth.org/)のサイトで確認できますのでご覧下さい。
 
 毛虫ひふ炎でもっとも被害が多いのは、ドクガの仲間の毛虫による皮膚炎です。毛虫は種によってきまった植物の葉っぱをエサにする習性があり、例えばチャドクガはツバキ、サザンカ、オチャなどの庭木の葉っぱをエサにしていて、また、モンシロドクガはサクラ、ウメ、クヌギなどの樹木の葉っぱをエサにしています。特にツバキやサガンカは公園やマンションの中庭に植えられていることが多く、したがってもっとも身近な毛虫ひふ炎は、チャドクガが原因と考えてよいでしょう。
 
 チャドクガは、関東地方では5月から6月と8月から9月の年に2回、卵からかえって毛虫になります。1匹の毛虫には何10万本もの毒針毛があり、それにふれたところにたくさんの赤いプツプツした発疹が出てきて、強い痒みを起こします(図)。部位的には、くびのまわりや腕などの、衣類でおおわれていなかった場所に出ることが多いのですが、えりやそでから毛虫が中に入ってしまったり、洗濯物に毛虫がついいたりすると、衣類でかくれている場所にも発疹が出てきます。なお、毛虫は1ヶ月ほどでガになりますが、このガの羽にも毒針毛が残っていますので、同じように赤いプツプツが出てきます。また、毛虫が集団で生活していた所には、クモの巣のようなものが残るのですが、毛虫はいなくても毒針毛だけがくっついている場合もあり、これに接触をすることによって、まれですが秋や冬にも毛虫ひふ炎が発生しますので、注意して下さい。
 
 発疹は毒針毛が接触してから数時間で出てくるようです。ですから、明らかに毛虫に触れてしまったと気がついたら、まず、ガムテープをペタペタと当てて、毒針毛をはがしとって下さい。そしてシャワーで流してください。かゆい発疹がたくさん出てしまっても、ステロイド軟膏の外用を中心とする治療を行えば1週間以内に痒みはよくなりますので、近くの皮膚科に来てくだされば問題ありません。

(神奈川県支部 浅井 俊弥)


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