あざは生下時、あるいは生後しばらくして生じる皮膚表面の色や形状の奇形で、医学的には母斑と呼ばれ、様々な種類があります。とくに色の種類によって、いわゆる赤あざ、青あざ、茶あざ、黒あざなどがあり、生涯変わらないものや成長とともに変化するものがあり、以下ではそれらについて説明します。
赤あざには、扁平で生下時より存在し変化のない単純性血管腫と、出生後に生じ生後6ヵ月〜1歳頃まで隆起増殖し、その後自然退縮する苺状血管腫があります。ただし単純性血管腫の中で額や上眼瞼、上口唇などに生じるサーモンパッチは、多くが1歳半〜2歳頃までに自然に消退します。治療は単純性血管腫では色素レーザー治療が第一選択ですが、治療に限界もあります。一方、苺状血管腫は3〜8歳頃まで待てば多くは自然消退しますが、急速に大きく増殖するタイプは退縮しても最終的にしわしわの瘢痕が残ることがあります。したがって無治療で自然退縮するのを待つのが一般的ですが、最近は早期より色素レーザー治療を行い、早めにあざを退縮させる方法も行われています。ただし、まだどちらの治療方針がよいかの結論は出ていません。
青あざには、顔面の片側に生じ徐々に濃くなる太田母斑と、殿部などに生じ自然消退する蒙古斑があります。太田母斑は生下時、あるいは生後まもなく生じ思春期まで色調が濃くなるタイプと、思春期になって初めて生じるタイプがあり、治療はQスイッチレーザー治療が第一選択です。一方、蒙古斑で殿部以外の背中や肩,手足などに生じるものは異所性蒙古斑といい、成長とともに退色しますが、色調の濃い部分は成人になっても残ることがあります。したがって治療しないで自然消退を待つのが一般的ですが、濃い部分はQスイッチレーザー治療を行うこともあります。
茶あざである扁平母斑は、多くは生下時より生じますが、思春期から生じるタイプもあります。治療はQスイッチレーザー治療を行いますが、再発が多くあまり効果が期待できません。
黒あざは色素性母斑といい、生下時、あるいは成長とともに出現する小さなホクロから、生下時より存在する大きな巨大母斑など様々な大きさのものや、隆起するもの、有毛性のものなどがあります。治療は手術療法ですが、非常に小さなものは炭酸ガスレーザーや電機焼灼でも治療できます。ただし、まれにホクロの癌である悪性黒色腫との鑑別が必要となることがあるため、比較的急速に変化する場合は、皮膚科の専門医を受診することをお勧めします。
(広島県支部 岩崎 泰政)
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