このひふ病は、全身あるいは体幹(お腹や背中)を主とした部位に紅斑(赤い斑点)がたくさんできる病気です。この多発性の紅斑の体幹における配列模様がクリスマスツリー様に見えるのが特徴です。発熱や倦怠感などの全身症状はほとんどなく、皮膚病に有りがちな痒みもほとんどないのがもう一つの特徴です。この病気は比較的若い人(10〜30代)に出来やすく、また夏より冬に多いと言われています。はじめ軽い風邪症状があり、その1〜2週後に突然指先くらいの大きさの紅斑が体中たくさんできて驚いて受診される方が多いようです。
詳しく問診してみると、親指くらいの大きさの赤みの少し強い、表面に鱗屑(皮膚表面の角質がはがれた状態)が付着した数個の皮疹(皮膚にできる病変)が多発性紅斑のできる前に先行して生じている場合もあるようです。これを原発疹といっています。その後にできる多発性紅斑のそれぞれにも粉をふいた様に見える鱗屑が付着しており、個々の形は横に広がった楕円形をしているのが特徴です。
この病気の原因は何らかのウイルス感染による二次的な反応と考えられていますが、詳しいことは不明です。この病気自体が伝染することはありません。
ジベル薔薇色粃糠疹は、ほとんどの場合1〜2ヶ月で痕を残さずに自然治癒するため、特別な治療は必要ない場合が多いのですが、まれに痒みが強いなど不快な症状が出ることがあり、その場合には症状を軽減する外用薬や内服薬が処方されることもあります。再発はまれとされています。
全身に紅斑が多発する皮膚疾患には、時として薬疹、ウイルス性発疹など重症化するものもあり注意を要します。その他、ジベル薔薇色粃糠疹によく似た病気に、梅毒2期疹、脂漏性皮膚炎、乾癬、ジアノッティー症候群、癜風などがあり、鑑別のために血液検査や菌検査、皮膚生検(皮疹の一部を切り取り顕微鏡で見る検査)を必要とする場合も少なくありません。多発性の紅斑が生じたら、早めに皮膚科専門医を受診されることを勧めます。
(福岡県支部 桐生 博愛)
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