にきびとは毛穴の中に存在するにきび菌などによる細菌感染症であると考えている方が多いようですが、決してそうではありません。皮脂の分泌が過剰になると同時に、皮脂の出口である毛穴の部分が角化(硬くなる)することにより、皮脂が毛穴のなかにつまってしまった状態からおこります。そして、つまった毛穴の中で、にきび菌などが繁殖して炎症を起こします。
皮脂の過剰分泌、毛穴の角化異常は思春期には、誰にでも起こりうることですが、ホルモンの影響(特に男性ホルモン)やストレス、紫外線、いろいろな皮膚への刺激(化粧、乾燥、髪の毛などの接触、擦れ、皮脂分解産物など)がにきびの増悪因子として作用します。にきびの治療ではこれらの増悪因子を回避したり、生活習慣を改善したりすることが重要ですが、それでも、よくならない場合には、皮膚科専門医を受診して専門的な治療を受けられるとよいでしょう。
にきびは面皰と呼ばれる小さな毛穴のつまりからはじまりますので、毛穴のつまりを取って、面皰形成を抑制する外用剤がにきび治療の中心になります。本邦では、アダパレンや過酸化ベンゾイルという成分を含む外用剤が使われます。赤いブツブツの紅色丘疹、膿をためた膿疱などの炎症性皮疹に対しては、抗生物質の内服薬や抗生物質の入ったゲル、ローション、クリームの外用剤が使用されます。そのほか、皮膚科クリニックでは面皰圧出といって特殊な専用器具を使って毛穴のつまりを圧出する治療や漢方治療が行われることもあります。これらの治療はすべて保険適用です。また、ケミカルピーリングという各種酸性溶液を使って、毛穴のつまりをとっていく治療も効果があります。ただし、これは保険が効きませんのご注意ください。
(東京都支部 川端 康浩)
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