アトピー性皮膚炎は,かゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返す皮膚病で,喘息や花粉症といったアレルギーにかかりやすい体質(アトピー素因)の人に多く起こります。湿疹とは皮膚の表面近くに炎症が起きて生じる発疹を言います。アトピー性皮膚炎は強いかゆみがあること,年齢によって特徴的な湿疹が生じること,症状が6ヶ月以上繰り返すこと(乳児では2ヶ月以上)によって診断されますが,よく似た発疹を呈する他の皮膚病を鑑別する必要があります。
乳児期では顔面などの赤いジュクジュクした発疹(図1),幼児期からは首や肘・膝関節の内側の乾燥した湿疹(図2)が特徴的ですが,思春期以降は上半身に湿疹が出るタイプ(図3)や全身に湿疹が広がる場合などさまざまです。幼児期あるいは思春期までに治ることが多いのですが,症状が成人期まで持続したり,一度治ってから再発することがあります。また思春期以降に発症する人もいます。治療の基本は,1)炎症を抑えるステロイドやタクロリムスのつけ薬と,かゆみを鎮める抗ヒスタミン薬の飲み薬による薬物治療,2)炎症を予防するためのスキンケア(洗浄や保湿),3)患者さんによって異なる悪化要因を見つけて回避することの三本柱で,どれもが大切です。治るまでに時間を要しますが,まずは日常生活に支障がない状態を保つことを目標に,信頼できる医師を見つけましょう。
(東京都支部 江畑 俊哉)
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