紫外線は、皮膚にいろいろな悪い影響を与えます。海水浴などで短時間に大量の紫外線を浴びると日焼け(日光皮膚炎)を起こします。また、仕事やレジャーなどで紫外線に当たる生活が長くなると、しみやしわなどの皮膚の老化に加えて、皮膚がんが発生しやすくなります。 日光角化症は、紫外線でできる皮膚がんの代表的なものです。顔面や手背などの紫外線によく当たる部位に好発します。皮膚の表面がカサカサして赤くなり、かさぶたができるようになります。この状態が日光角化症です。日光角化症は、皮膚の浅いところ(表皮)にとどまっている初期の皮膚がんを指し、その状態では転移の心配などはありません。しかし、無治療で放置していると次第に隆起して、浸潤性の有棘細胞がんとなります。普通の湿疹や、しみと区別がつきにくいため、素人判断は禁物です。御心配な病変があれば、必ず皮膚科医にご相談ください。多くの場合、見た目だけでは区別しにくいため、皮膚の一部をとって調べる皮膚生検を行い確定診断します。 日光角化症に対する治療としては、切除あるいは液体窒素による凍結療法が一般的でしたが、最近イミキモドという塗り薬での治療が可能になりました。週3回患部にすり込むようにして十分に外用し、そのまま静置して8時間後に洗い流します。4週間塗布し、4週間休薬、必要であればさらに4週間外用します。それでも効果が不十分であれば液体窒素による凍結療法あるいは切除を行います。実際の治療法の選択に際しては、できている場所や数、年齢、合併症などを考慮する必要がありますので、主治医とよくご相談ください。 医療の進歩とともに、平均余命が伸びています。その中で若いころから紫外線ケアを行っておくことが、数十年後の皮膚がんの発生を防ぐかなめとなります。
(東京都支部 林 伸和)
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