図1:とこずれ初期
図2:とこずれによるびらん
図3:とこずれによる皮膚潰瘍
図4:とこずれの高度な潰瘍
|
褥瘡は別名とこずれともいわれますが、多くの場合寝たきりの状態が最初の引き金となります。同じ状態で寝ることで、ある特定の場所が長時間圧迫を受け、血液の循環が悪くなり組織の壊死を起こす状態です。
床ずれのできやすい場所
骨の突起が触れるような場所が最も圧がかかりやすくなります。仙骨部 大転子部(腰骨の横の出っ張り)、かかと等ができやすい部位です。
とこずれのできやすい局所的条件
すれて赤くなった、カブレやカンジダ皮膚炎がある、オムツや便でいつも湿っぽい状態になっている等といった皮膚にとこずれができ易くなります。
とこずれのできやすい全身条件
全身状態が悪くなればとこずれができやすいのですが、簡単にいえば栄養の供給と血液の循環が悪い場合です。
とこずれの予防
体圧がかかり易い場所を把握し、その場所が長時間からだの下にならないようにする事、これを徐圧といいます。エアーマット等で体圧を分散させることが役に立ちます。体をある程度動かす人にはエアーマットより褥瘡予防用のマットを使用します。又全身状態をよくすることは非常に重要です。口から食べる食事は何にもまして栄養価が高いのです。しっかり食べることが褥瘡の予防になり、もちろん治療になります。
褥瘡の経過と治療
とこずれの経過はわかり易い呼び方で黒色期、黄色期、赤色期、白色期に分けています。黒色期は皮膚が壊死を起こし黒っぽいカサブタ状になっている状態です、黄色期は黄色い壊死組織があり皮膚の残骸が残っている状態です。赤色期は皮膚の再生がはじまる状態です。さらに白色期は皮膚が再生しつつある治る前の時期です。
治癒は栄養状態で左右されます。栄養の状態、血液の循環に気を使う必要があるのです。いずれの段階でも微温湯・生理食塩水などの洗浄後、医師が選択した症状にあった薬剤で処置します。何度も言うようですが最も重要な事は患者さん本人が身体を正常に保つ能力、そして修復する能力です。我々医師、家族、ケアマネージャー、ヘルパーはとこずれができないようにする、できたらそれを邪魔するようなマイナス因子を少しでも取り除くことはできますが、とこずれを治す力、栄養は患者さんの中からしか供給できません。しっかり食べる、少しでも動くことが非常に大事であることを決して忘れないで下さい。とこずれの初期に皮膚科医へ相談する事が非常に重要です。
(東京都支部 種田 明生)
|