りんご病という言葉はなんどか耳にした方が多いと思います。ほっぺが赤くなりりんごのようなので親しみをこめてそう言われます。伝染性紅斑が正式な病名です。原因はヒトパルボウイルスB19でくしゃみなどの飛沫によって感染する冬から春にかけて流行することが多い病気です。多くは児童がかかる病気ですが、たまに、親や保母さんがかかることもあります。潜伏期は約2週間で、顔に特に両頬に平手打ちされたような紅い斑点が鼻柱で連なり蝶のような形として生じてきます。最初はさわると少し盛り上がりを感じる斑点なのですが、時間とともに融合して平らな斑点となります。口の周りは赤くならないのが特徴です。顔の発疹は7日から14日で消えていきます。顔以外にも二の腕の伸側に爪位の大きさの紅い斑点が生じ、3.4日で前腕から次第に手の甲におよびます。4-5日で消えて末端に移動していくのです。頭は症状がでませんが太ももや体には生じることもよくあります。これらの発疹は地図状から網目レース状になります。最後は湿疹のように粉を吹くこともなく、色素沈着も残さず発疹が生じてから2週間位できれいに治ります。ただ、怒ったり啼きわめいたりの精神的興奮や気温上昇・入浴・日光などで再燃することがあります。
発疹が出てくる前に微熱があったり咳・くしゃみ・関節痛・筋肉痛がある場合が多く、前駆症状といわれます。ただ、両親が気付かない程度のことも多いようです。実はこのかぜに似た前駆症状の際に伝染してしまい、発疹が生じてりんご病とわかった時にはほとんど他の人には感染を起こしません。よって登園・登校は問題ありません。とくに心配することのない予後良好の病気です。
ただ、妊婦の方の感染は妊娠20週までに感染すると胎児水腫を発病することがあり10%前後の確立で子宮内死亡を起こす可能性がありますので、注意が必要です。
(大阪府支部 平山 公三)
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