どんな場合に救急病院を受診するのか?
病院や診療所の診察が終わった夜や休日に急に皮膚病がでてくることがあります。全身状態(発熱、強い倦怠感、ぐったりしている、意識がはっきりしない)が悪かったり、痒みや痛みが辛抱できない場合は、救急病院や休日急病診療所を受診してください。全身状態が良くて(元気で)、救急病院を受診するほどでもない時には、できるだけ早く皮膚科専門医を受診しましょう。よくある皮膚病の家庭でできる応急手当に
ついて最後に述べてみます。
救急病院で多い皮膚病は?
一般の救急外来に受診する割合が多い皮膚病は、丹毒、蜂窩織炎で、皮膚の局所症状(炎症、熱感、腫れ)に加えて、全身の発熱を伴うケースが多いようです。次に多いのが、帯状疱疹(ヘルペス)、熱傷(やけど)、薬疹(の疑い)、じんましん、感染性粉瘤(膿瘍)、せつ(おでき)、接触皮膚炎(かぶれ)の順番となっています。
あと、食物アレルギー、虫アレルギー(蜂など)は、アナフイラキシー・ショックを起すことがあります。セアカゴケグモ咬傷、マムシ咬傷も生命にかかわる重篤な状態になりますので、これらは一刻も早く救急車で病院に行く必要があります。また、動物咬傷(イヌ、ネコなど動物に咬まれる)は、感染が悪化すると重症になることもあるので、早めに受診した方がよいと思います。
救急外来に受診する皮膚病で多いのは、細菌感染、皮膚ウイルス感染ですが、いずれも抗生物質や抗ウイルス剤の内服が治療の柱になりますので、皮膚科専門医の手当が必要になります。
なお、各皮膚病の詳しいことは「皮膚の病気」のコーナーをご覧になってください。
まだ記載されていないものは順次取り上げられていくと思います。
救急皮膚手当・ミニ知識
「熱傷」
水で冷やして(冷やす時間は20〜30分)、そのまま受診するのがよいでしょう。ガーゼを当てると傷に付着して、剥がす時に痛いし、傷を広げる可能性があるので、病院へ行くまでラップでくるむのもよいと思います。やけどがごく小範囲の軽症で、直ぐ病院へ行くのが難しい場合は、ワセリンなどを塗るのもよいと思います。薬品が入っている軟膏は、傷を刺激したり、傷口が治るのを遅らせたりするので塗らないほうがよいでしょう。
「切創」(切り傷)
洗浄してそのまま病院を受診します。病院へ行くまでラップでくるむのもよいと思います。消毒したり、傷用の軟膏を付けたりはしないで下さい。特に、ステロイド軟膏は、傷を化膿させたり、傷の治りが悪くなるので、塗ってはいけません。
「動物咬傷」(イヌ、ネコ、動物に咬まれる)
日本では狂犬病は基本的に心配ありませんが(海外旅行では注意)、注意が必要なのは口腔内常在菌(パスツレラ、カプノサイトファーガー)による感染症で骨まで病変がおよぶことがあります。咬まれたらよく水で洗ってガーゼを当て、できるだけ早く医療機関・皮膚科専門医を受診してください。病院では、高圧洗浄、外科処置、抗生物質投与(ペニシリン系など)で治療します。
(大阪府支部 笹川 征雄)
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