一口に「しみ」と言っても、皮膚科的には、いろいろな疾患が含まれています。加齢に伴う皮膚の色素沈着である「老人性色素斑」のほか、「後天性太田母斑様色素斑」、「肝斑」等、別の疾患もあり、それぞれ治療法も違います。主な疾患の特徴と治療法について概説します。
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老人性色素斑:顔など紫外線によく当たっていた部位に生じやすい褐色斑です。少し盛り上がってかさかさしているものもあり、盛り上がりが大きいと「脂漏性角化症」「老人性疣贅」になります。色の濃いもの、盛り上がりのあるものは、液体窒素で冷凍凝固治療できます(保険診療)。盛り上がりの無いものは、レーザー治療、トレチノインピーリングなどが有効です(自費診療)。 |
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太田母斑・後天性太田母斑様色素斑:どちらも顔にできる黒色〜灰青色の色素斑で、老人性色素斑よりも深いところにメラニンが沈着しているため、レーザー治療をしないと深いところの色は消えません(保険診療)。 |
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肝斑:妊娠中、更年期などに生じる顔、特に頬から目尻のあたりにできる褐色斑です。女性ホルモンの影響によると言われており、ビタミンC、トラネキサム酸の内服や、トレチノインピーリング(自費診療)が有効です。治療により薄くなってもホルモンバランスの変化等で、急に濃くなることもあり、再発が予測できません。 |